ひと休憩~少しオーディオの話し~第11話 暫くぶりのスピーカーケーブルの交換

 早いモノで、B&W707S2を購入して1年以上経ちました。

エージングも充分行われ、707S2も充分に良い音で私を楽しませてくれていましたが、2か月くらい前だったと思います、その音にもう少し改良の可能性があるように思えてきてしまいました。

というのも、とてもクリアーで気持ちの良い高音と、量感は多くはありませんが切れのある低音で音のバランスはとても良いのですが、少しだけ音の奥行感若しくは豊さに欠ける気がして来てしまったのです。

手っ取り早いのは、アンプをグレードアップすることだとは思いますが、こんなコロナの真っ最中でそんな余裕は微塵もありません。

そこで先ず思いついたのが、スピーカーの高音低音に分けられたプラグを繋ぐジャンパーケーブルの交換でした。バイワイヤー接続については、先日検証してシングルワイヤーの方を取りましたので、可能性があるとしたらこの方法です。2つのスピーカーに対して+用2本-用2本の合計4本が必要です。長さは大体15㎝程度のものです。

オーディオについてあまり知らない方には信じられないと思いますが、こんなモノでもちょっとイイモノですと一万円台の中盤位するのがオカルトオーディオワールドです。

それまで使用していましたのが中華メーカーのモノで、約4千円弱。それはそんなに癖がなく作りもしっかりしていてまずまずではあったのですが、替えたい欲求が出て来てしまってはどうにもなりません。ですが、ジャンパーケーブルに1万も2万も出す気は毛頭ありません。でも替えてみたら音質が向上するに違いないという仮説をどうしても立証したい!

「そうだ!困った時はメルカリかラクマで中古を見つけてみよう!」

そう思い立ち、つらつらとスマホで検索しているとメルカリでAETケーブルを使用しバナナプラグとY字プラグで両端を加工したものが、中古ではありますが¥3,000ほどで出品されているのを見つけました。どやら個人の作成品の様です。AETというと、かの有名な大阪のオーディオ専門店Iでお勧めのケーブルである事は知っておりましたので、

「これなら良いかも!?」

そう思い、購入してみました。この出品者さんは実に対応が早く、中一日くらいで品物は到着しました。到着して開封前に驚いたのはそのズッシリとした重さでした。

「何やら良さげな予感!!!」

開封し中を見ると、ロジウムメッキのプラグと書かれていたプラグがとてもしっかりした仕事で取り付けられており、ケーブルも太くジャンパーケーブルと言えどもなかなかの高級感です。


早速707S2にそれを取り付け、鳴らしてみました。こんなシーンではダイアナ・クラールの『TURN UP THE QUIET』です。

するとどうでしょう!?バイワイヤー接続の時に感じたにボーカルの奥行きがグッと出る感じが!尚且つ高音の煌びやかさや低音の締まりもキープしているではありませんか。

結果的には、大成功でありました。足りなかった奥行き感もグッと出てきましたし、第一¥3,000でここまでの違いとは驚きです。
アンプからスピーカーに繋ぐスピーカーケーブルは長さもありますし、これまでの経験上ケーブルでの音の違いが出ることは間違いのない事なのですが、ジャンパーケーブルでここまで違うとは、これまであまり考えた事は有りませんでした。

それまでは、今まで使用してきたケーブルを15㎝程度に切って接続していました。考えるとこれでも既存銅メッキのジャンパーよりは音質が確実に良くなっていたことにすっかり慣れていて、新しいスピーカーを迎えるにあたって少し見栄えの良いモノに交換しておこうと軽く考えていたのです。

いやー、全く持ってオーディオ遊びは面白いですね!

そうして暫くは、「これで完成!」とばかりにオーディオ生活を楽しんでおりました。

ところが、人間の欲望にはキリがありません。
1か月と経たないうち、スピーカーケーブル事態を換えてみたくなってしまったのです。
もう3年ほどお世話になっているSUPRA CLASSIC 2.5というケーブルなのですが、はっきり言って悪くないです。
しかし、
「ソリッドな音がしますが押し出し的なものがもしかしたら弱いかなー?」

なんていう事を漠然とですが思っておりました。
そんな事を思っていたものですから、「交換したい!」と思い始めたらもう止まりません。

ケーブルについて、またあれこれネットで検索しているうちにQEDという英国のケーブルに辿り着きました。これも大阪の有名専門店Iの一推し ケーブルです。

そして各ショッピングモールで検索していると、バナナプラグがメーカーで付けられたセットモノが売っているのを見付けてしまいました。欲しかったメーター数は2.5m。予算は1万円程度。これにピッタリのものがあり、楽天ポイントも¥9,000弱ありましたでPerformance XT25というそのメーカーでは比較的廉価なものを購入することにしました。ここのメーカーのプラグは大変高く、セットでこの値段はお買い得です。

商品は注文の2日後に到着し、早速付け替えです。
先日交換したAETの赤のジャンパーケーブルと半透明の白と言った色合いのQED Performance XT25はスピーカー裏でとても躍動的にセットされました。

「美しい!」

ピアノブラックの707S2ととても似合っています。たかがケーブルごときで何を言っているのかと言われそうですが、モノ好きの性とでも申しましょうか、こんな事にグッと来てしまうのです。


さて音出しです。
先日もご紹介しましたが、CDは最近最も良い音と感じています  
 Georges Paczynski Trio の『GENERARIONS』をセットしていよいよ視聴です。


一曲目は高いキーのピアノからスタートします。
「おっ!」
いきなり来ました!音圧が上ったと言うのか押し出しが強くなったと言うのか、力強さは確実に上がっています。元々良かったシンバルの音も迫力が増しそしてウッドベースの音も締まりが良くなりました。

そしてもう一枚、ボーカルモノとして外せないのが
Diana Krall『TURN UP THE QUIET』


全体音質、そしてボーカルの生々しさを判断するのはやはりこの1枚です。やはり確実に一ランク上がりました。全体的印象としましては音全体がクリアーになり立体感も増して奥行も充分!!こんなことが起きるので、欲がどんどん出て来てしまう訳です。

私の信条としましては、
「持っている機材の性能を最大限に引き出したい!」

その事に尽きます。

「この子はやればもっとできる筈!」

そういう親バカ的要素が多分にあり、子に期待してしまうのは親の愛ゆえであります。実の子にはそこまで親バカにはなりませんでしたが、物言わぬモノたちは持ち主によってしか力を発揮出来ないので、それも仕方のない事だと自分には言い聞かせています。

取り敢えずは、研究を重ねた上での私の仮説はまたしても立証に至った訳です。

「いやー、楽しい!」

仮説はいつもいつも立証できる訳ではありません。中には「こうなっちゃうの!?」という失敗もありますので、立証が出来たときは本当にウキウキものです。そしてまたしても約1か月くらいは大満足のオーディオ生活を送っておりました。

そしてその一カ月ほど経ったそんなある日、愛知のオーディオショップOさんのYouYubeを観ていますとケーブルの接続方法による音の違いを検証しているとても興味深い映像に巡り合いました。そこでは、シングル・バイワイヤー、バイアンプ以外にもう一つBTLという何やらサンドイッチのような名前の接続方法があることを初めて知りました。

見ていたのですが、裏の接続方法が映っていない為、説明を聞いていても良く分かりません。
ネットで調べてみたのですが、私の持っているケーブルでは出来なそうです。
その方法を「とても良い!」と評価されていたので気になって仕方ありません。

そこで、私なりの方法をそれに近い感覚で実行してみることにしました。

私のアンプmarantz PM8004にはスピーカー端子がA・B2組備わっています。
通常は、AにCM1、Bに707S2を繋げているのですが、CM1のケーブルを抜きスピーカーAの+とスピーカーBの-に707に繫がるケーブルを繋いで鳴らしてみることにしました。
この際問題なのは、CM1への切り換えや両スピーカーを一遍にならすことが出来ない事にありますが、物は試しでやってみました。

繋ぎ方はシングルワイヤーなので、通常はアンプ側のスピーカーA,スピーカーBのみの使用になりますが、このケースの場合は両方の片方だけを使用していますので、両方をオンにして

鳴らすことになります。


するとどうでしょう!?

以前よりもう一歩力強さを感じる音になったではないですか!

理論上は良く分からないのですが、兎に角音質、解像度がワンランク上がった感じです。

この使い方でメカ的に問題がないかどうか販売元のD&Mに問い合わせたところ問題なしとの事でしたので、暫くこの繋ぎ方を楽しもうと思っています。

これで私に起こった一連のケーブル関係の盛り上がりはひと段落したようです。

「今が、私のオーディオ史上最高の音質」

であることは間違いありません。
飽くまで中級オーディオなので、何十万何百万の機材を投入すればあっという間に解決できる話なのだとは思いますが、限られた金額の中であれこれ楽しむ事を、私は無類の喜びとしております。
高い機材を買えば、それはそれでまた何かとお金を掛けたくなるのがこの底なしオーディオ狂の世界なのですが、音響設備を整えたオーディオルームを作る余裕も当然ありませんし、負け惜しみではなく、「リビングルームで聴く良い音」が私のイメージです。

たかがオーディオです。されどオーディオなのです。

「私のオーディオ史上最高の音質」が手に入り、大変に喜ばしい事なのですが、それと同時に妙な心持になってしまいました。
それは、「手に入ることによって起こる喜び」と同時に起こる喪失感ともいえるかも知れません。

無いから求める。無いからこそ手に入れる手段を考える。そのためにあれこれと勉強する。そして蓄えた知識で仮説を立てる、そして検証し立証する。
その過程こそが無類の喜びでありドーパミンの源なのかも知れません。

良く、「旅は計画を終えた時点でその楽しみの多くを終えてしまう。」

そんな事を言いますが、それに似たことなのだと思うのですが、、、、

次のオーディオの旅までにはまた多くの経験と勉強が必要です。勿論お金も。
しかし今は、それまでの計画に則った旅の途中です。

そして、少しのハプニングや寄り道なんていうのも旅の醍醐味の1つです。
そんな事を楽しみながら、暫くはこの音と旅をすることにします。

決して底のない沼には落ちない様に注意しながら(笑)






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