先ずは、I君が勧めてくれた2作を勧めたてくれた順番で観ることにしました。
記念すべき1本目は
『刑務所のルールブック』別名『賢い監房生活』
勿論これからです。
これについては、ベテランウォッチャーの私の奥さんも諸手を挙げてお勧めだそうなので、何の迷いもなくこれから行きました。
私の家のテレビは地デジ切り替え時に購入した今は死語に近くなりましたがHITACHIのプラズマテレビWoooでありますので、リモコンにNetflixなんていうボタンなどは付いておりません。ですので、amazon STICKからNetflixを選択して入るという手順を踏まなければなりません。Netflixを選択しますと初期画面が出るまで暫くあってNの赤い文字が中央に現れ「ジャジャーン!」という音とともに大きくなって消えていきます。
登録を終え、私と奥さんのユーザー名の設定をし、私のユーザー名を選ぶと、縦長の長方形で番組リストがならんでいました。
人気順に並んだリストや、系列別に並べられたリストが項目別に帯状に並べて出てきます。
その中で
『刑務所のルールブック』
を見つけるのはとても簡単で検索する必要はありませんでした。人気なのでしょう。
『刑務所のルールブック』と書かれた長方形のリストを選択しいよいよスタートです。
否が応でも期待感は膨らみます。
オープニングは何やらラップの軽快な音楽。物語は始まりました。
才能と運を持ち合わせた順風満帆のプロ野球選手キム・ジェヒョクがこの物語の主人公であります。
とある夜、国民的英雄となったプロ野球選手キム・ジェヒョクが、彼の妹のアパートを訪れた際、彼女を襲う暴漢に出くわしました。最愛の妹が襲われた現実に怒り狂ったジェヒョクは暴漢を追い詰め揉み合いとなり、過剰防衛的な要素は強いのですが、結果傷害の罪で刑務所生活を余儀なくされます。そしてその後暴漢は死に至り、ジェヒョクの怒りは苦悩へと変わって行き、彼を苦しめる事となるのです。
物語は、そこで出会う看守や様々な罪を犯した入所者と織りなす群像劇です。
時にシリアスに、時にコミカルに描き出すその緩急を付けた演出も抜群でありました。
入所者はそれぞれに事情を抱え、それぞれに心に傷を負っています。
罪を悔やみ反省し、模範囚となる者も居れば、悪の道にドップリ浸かり罪を繰り返す者もいます。
そしてまた、ある者は無実でありながら罪を着せられ自暴自棄になっていたり、トランスジェンダーに苦しみ麻薬に手を出した者もいるのです。
そして囚人の中で最も多いのは、優しくされた経験を持たない、愛情そのものを知らない人達。
そんな中で、スターということもありますが、その馬鹿がつくほどの世間知らずで実直なキム選手の姿に、周りの囚人達はキム選手を応援していく様になるのです。
刑務所側の人達には、彼が国人的スターであるためか、執行猶予が妥当との見方が強かったのにも拘らず実刑になったことに対する同情もあってか、彼は優遇されて行きます。
これはある種、刑務所長のエゴ的な有名人利用にもなって行くのですが。
ここで重要なのは看守の一人にキム選手の親友ジュノがいたという事です。
彼は、キム選手が送致される刑務所に転属願を出して彼を守りに来てくれたのです。
この事でキム選手の刑務所生活は大きく変わって行きます。
勿論それを面白く思わない囚人達も多くいます。その囚人たちとのバトルもこの物語の見どころの一つです。
看守の人達の中には口は悪く強面なのだが、本当は心の温かい入所者思いのペン部長なんて人もいて、僕はこの人には後々号泣させられることになるのですが、、、。
主人公キム・ジェヒョクは流石プロスポーツ選手と言える様なガッチリとした体格で、ヘアースタイルは韓国人にありがちなショートの前髪パッツン。
これは韓流を見続けると分かってくるのだが、日本で言う五分刈り的な感じではないかと思われ、軍人やスポーツ選手では意外とポピュラーな髪型のようです。
因みに『梨泰院クラス』「愛の不時着』の主人公もこの髪型であります。
日本ではイジリー岡田くらいしか見たことがないので、初めはちょっと見慣れない感が凄かったのですが、20作近く観た今となっては、殆ど何の違和感もなくなりました。
ただ、相変わらずカッコいいとは思いませんが。(笑)
話は横道に逸れたが、こんな登場人物の一人一人に人生があり、苦しみがあり、家族や恋人があり、当然ですがそれぞれの歴史がある訳です。
作品内でそんな一人一人の物語も回想シーンとして織り込んでその人物像を揺るぎないものにしています。この事はこの作品に於いてとても重要な要素で、その丁寧さがこの作品の価値を位置づけていると言っても良いと思われます。
韓流ドラマの多くは一話が日本より長く約1時間20分程度あり、これが16話で完結する様です。Netflixは一つの話が終わると右下に次のエピソードという白に囲まれた文字が出て来て、それを左から右にライトグレーの色が流れて行き次の話が始まります。
1時間20分もの長い一つの話が終わって、やれやれと思っているとあっという間に次の話が始まってしまうではないですか。1時間20分と言えば短めの映画ほどの時間がある訳ですから、一息つきたい気分ですが次のエピソードは待ったなしで始まってしまいます。
という事は、全く持って止め時が分からないという事になります。そのうなのです。Netflixに於ける最大の恐怖は、「止め時が分からない」この事にある事を後々思い知ることになります。
しかし、「辞め時が分からない」というのは、言い換えれば止めないで見続けたいという事に他ならないという事です。
「何故か!?」
答えは簡単です。何せ面白いからなのです。
私は自他ともに認める所謂ドラマファンです。ブログでも私のドラマ遍歴につきましては長々と書かせて頂きましたが、ドラマを観続けて50数年のドラマファンとしては大ベテランの私が、「文句なく面白い!」と心底思ってしまったのです。
ハッキリ言って日本でいうドラマの域は遥かに超えています。言ってみれば一話1時間20分の映画を16話観る、そんな感じなのです。
先ずは脚本が素晴らい!
随所にちりばめられた伏線、その伏線により仕掛けられた巧妙な結末。またユーモアにも溢れ見る者を飽きさせません。
そして何よりも役者陣の圧倒的な演技力。これには本当に驚かされました。
4話5話と観進めるうちに、私はあっという間にこのドラマの大ファンになって行きました。
キム・ジェヒョクを演じる主役のパク・ヘスは朴訥ながら一本筋の通った根っからのスポーツマンを演じ切り、親友のジュノを演じるチョン・スギョンは彼の独特の優男スタイルを確立していたり、へロリンを演じるイ・ギョヒュンはその後様々見る中でこのドラマが最高の出だったと思われる最高の演技を見せてくれていたり、ミンチョルさんを演じるチェ・ムソンは最高にイカシテました。
そして私が号泣してしまったシーンは、看守のペン部長(チョン・ウンイン)が巧妙な伏線の後にマイ・ウェイを高らかに歌うシーンでありました。このドラマは泣けるシーンが多々ありますが、これはあまり皆の賛同を得られないのですが、私が号泣してしまったのはこのシーンでありました。
何しろこのドラマの役者陣はそれぞれに立っていて、自分の持てる全ての演技力を出し切り、それが不協和音とはならず見事なセッションになっていたことは間違いありません。
後に、このドラマのベースになったと思われる映画
『7番房の奇跡』
というこれまた泣ける映画を観ました。皆さんもこの映画を観れば、『刑務所のルールブック』のベースになったのではないかという私の意見に納得して頂けるかと思います。
宜しければ是非!
本ドラマの内容自体は荒唐無稽といえばそれまでなのですが、そんな事はどうでもよくなる程の凄い熱量、そして脚本、演技、撮影、音楽とあらゆる意味で秀逸なのです。
私にとって一番最初の韓流ドラマがこのドラマだったという事も勿論ありますが、このドラマのインパクトは相当なもので、私は、パク・ヘスの事を未だにキム選手と呼んでいますし、イ・ギョヒュンの事はへロリン、チェ・ムソンの事はミンチョルさん、チョン・ウンインの事はペン部長と呼んでいます。
韓流俳優の名前が覚えられないのもありますが、そう呼んでいます。
悲しい涙・嬉しい涙・感動の涙・息の抜ける笑い・怒り・同情・共感・達成感とそれこそ人間の喜怒哀楽を十二分に刺激してくれる、そんな作品でした。
筋の通らない世の中にあって、自分の在るがままの信念を貫き通すキム選手とそれを支援する人たちの優しさと心意気に胸を突かれたのでありました。
ところで、このドラマの本質的なテーマは一体何であろう?
そう考えると私なりの意見ですが、それは「贖罪」「許し」という事にあったのではないかと思っています。
人は誰しも少なからず罪を犯します。
その罪をどう償うのか?その罪をどう許すのか?
この事が、大きなテーマであったように思います。
恨み嫉みを抱えて生きる事の辛さや愚かさ、それを許すことの強さそして自由。
悔い改めたものを許すことの意味は、両者の未来に道を創ってくれるところにある様な気がしてなりません。
「悔い改める事、許す事」
これは人間社会が出来てから脈々と続くテーマであり、これからもなくならない大きなテーマであると思います。
この事がドラマ中一貫して語られていたように思います。キム選手や多くの登場人物たちがこの「贖罪」「許し」をドラマの中で体現してくれていたのだと思います。
特にキム選手は「許し」から相手の「悔い改める」心を導き出していました。この懐の深さには感服しました。
勇気を貰え背筋を伸ばされる、素晴らしい脚本でありました。
私にとってこの作品は、コロナ禍に観るべき秀作であったことは間違いありません。
『韓流ドラマ』恐るべし!!!
~つづく~
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