「私の好きなモノそして人」~テレビドラマって観ますか?~VOL.16「私の中の田村ブーム!」
1987年、1月から
『パパはニュースキャスター』
プロデューサー:八木康夫
脚本:伴一彦
主演:田村正和、出演:浅野温子、所ジョージ
TBSの金ドラ枠で田村正和のコメディードラマの真骨頂である『パパはニュースキャスター』が始まりました。
『夏に恋する女たち』で新境地を開いた田村正和が、『うちの子に限って』でステップを踏み、この作品で大ジャンプをしたと、当時私は大喜びでした。
『うちの子に限って』は、田村正和の代名詞ともいえるニヒルな超二枚目路線とは程遠い役柄であったことで単純なギャップの面白さを演出したのに対し、『パパはニュースキャスター』では、主人公は鏡竜太郎は有名でスタイリッシュなニュースキャスターという設定で、旧田村的にうってつけの設定をワンステップ踏むことで、『夏に恋する女たち』以降の新田村とのギャップの面白さを同時に味わえるように仕立てたのです。
物語はこんな感じです。
ニュースキャスター鏡竜太郎は独身主義者である。都会の豪華でスタイリッシュなマンションに住み独身貴族を謳歌していました。
恋人は同じニュース番組のアシスタントキャスターである米崎みゆき(浅野温子)。
勿論曲には内緒の付き合いです。
酒癖と女癖が非常に悪いのも彼の特徴で、これが仇となり独身主義者の彼の理想の暮らしは、ある日を境にドンドン崩れて行くことになります。
3人の11才になる少女たちが次々と鏡竜太郎を訪ねて来ます。それも突然3人が3人とも彼を父親だと言って。
聞くと、その3人の名前は何と「愛(めぐみ)」と全く同じ名前なのです。
そしてその3人の少女(西尾、大塚、鈴木)は異口同音に、その名前の由来について彼女たちの母親から聞いているこれまた全く同じ話をし始めます。
(この3人の子役は、この後の芸能活動を個の名字で行っていくこととなるのも面白いです。もしかすると、その3人の役名の名字は本名から撮っていたのかも知れませんが)
そして、この物語の粗筋を芥川隆行のオープニングナレーションが重々し口調で語ってくれるのもかなりコミカルでインパクトがありました。
「鏡竜太郎、40歳、独身。
職業、ニュースキャスター。
ジャーナリストとして正義感に燃える彼にも、欠点がある。
唯一と言っていい彼の欠点は、酒。
飲むと記憶をなくすほど酔っ払い、女を口説くのである。
12年前、彼は三人の女を口説いた。
そのことが、やがて思いがけない悲劇となって、
彼の身に襲いかかろうとは夢にも思わずに........
このドラマは、ある日突然三人の娘の父親になった、
独身主義者の悲劇........ではなく、喜劇である。」
良いです!
彼女たちの母親は12人前のほぼ同時期に鏡に口説かれて鏡と一夜を共にしたらしいのです。
そんな事を言われても、酒癖、女癖の悪い彼はそんなことは全く記憶にありません。3人とも行きずりの恋でしかない筈でありました。
その時の口説き文句は3人とも全く同じでこう!
「俺もね、、、、そろそろ身を固めようと思ってるんだ、、、。娘が出来たらもう名前はもう決めてある、、、、。
愛情の愛と書いてめぐみと読む。愛に恵まれるようにねって。」
バーのカウンターでヘベレケになって、こう言っているシーが必ず入るのですが、これがこのドラマの名シーン名台詞です。
どうぞ、このセリフを田村正和がヘベレケの状態で言っていると思って頭の中に思い浮かべてください。
全く同じ口説き文句に、彼女たちの名前の由来が!しかもそう聞かされるとおぼろげながら思い出したりもしてきました。
そういわれても、あまりのことに半信半疑であるがもうどうすることも出来ません。
スタイリッシュで気儘な独身貴族の暮らしは、見事に崩壊して行くのですが、その一方で鏡の中にも子供たちに対する愛情の様なものが芽生えて行く様を、コミカルに描いていくそんなドラマでありました。
田村正和という役者さん自身の変化というのか結実に向かう進化というのか分かりませんが、兎に角目彼の一挙手一投足から離せませんでした。
外観は旧田村正和を更にデフォルメして、そこにこれでもかと面白おかしい人間味を加えて行く設定を企画した八木康夫というプロデューサー、そしてその意図を見事に物語にした伴一彦という脚本家、そしてその意図をそれらを上回る勢いで見事に演じた田村正和。
『パパはニュースキャスター』は企画、脚本、演者が寸分違わないベクトルを共有し実践した秀作であった思っています。
自らを俯瞰視したような視点で、田村は自身を観ていたのではないかと思います。
それは往年の大投手、稲生が語っていた
「自分の投げる姿が自分で見えていた」
というような、田村正和乗りに乗っていた時期であったと確信しています。
『夏に恋する女たち』で原田芳雄という役者さんに出会った事が、田村正和の役者人生に大きな衝撃を与え、おそらく役者として苦悩の日々は確実にあったと思われます。
しかし彼は、天性の役者です。それを見事に乗り越え吸収し物凄く魅力的なその後に『古畑任三郎』を演じる様な役者さんになったのだと私は考えています。
また、当時乗りに乗っていたトレンディー女優浅野温子もこの物語を盛り上げるのに、少なくはない功績を残していると思います。
跳ね返りだけれども人情派で、手足が細く当時憧れのスタイルを持ち合わせていた女優さんです。
この翌年放映される『抱きしめたい!』でダブル浅野ブームを巻き起こすことになりますが、浅野温子あってのダブル浅野であったことは間違いありません。
書いていて何だか聞いたことのある話を書いている気がしてきました。
設定はだいぶ違いますが、
1972年に大ヒットしたドラマ
『パパと呼ばないで』脚本:向田邦子、松木ひろし
主演:石立鉄男、杉田かおる
このドラマは、モジャモジャ頭のちょっとフラフラしてヘンテコリンな男が内面でカッコイイところを見せてくれるドラマでしたので全く逆なのですが、子供と向かい合うのが苦手な男が四苦八苦するコメディーという意味では
『パパはニュースキャスター』のベースになっていたかも知れませんね。
ここから先、私は田村正和という役者さんの出るドラマは、必ず見てきました。
もう一人の好きな役者さん、中井貴一と同じように。
彼らに共通することは、二人とも二世俳優であることと、とても誠実な目をされていること、そして何よりお二人とも上品です。
育ちが良いから上品で当たり前とよく言われますが、そんなことはありません。
裕福なお家で育った方にも品の悪い方は多くいらっしゃいますし、貧しいご家庭に育った方にもとても上品な方もいらっしゃいます。
生まれ持った品格なのか、この二人の役者さんを見ていると、何故だか心がとても安心するのです。物語の中の話なのですが、その言葉や振る舞いを疑って見なくて良いのです。
その人がそう言えば
「そうなんだろうなー!」
涙を流せば
「分かる分かる!!!」
と泣けてきます。
その感情に全く異物感がなく、私としては本当に信用して楽に観ていられるのです。
上手い役者さん、凄い役者さんは他にも大勢いらっしゃいますが、こういう感覚を持って見られる役者さんはそうはいません。
本当に一方的ですが、私はそう思ってい見せて貰っています。
1987年は、世間を騒がす大きな出来事はなかった様い思います。
日本はバブル期に確実に入ってきており、年末には1ドル/121円という現代と同じくらいにまで円が上昇してきていました。
CMで印象的なものが一つありました。皆さんも絶対覚えている筈です。
山口美江演じるその時のイケイケOLが家に帰ってスーツ姿のまま
「しば漬けたべたい!」
というフジッコのCMです。インパクトありました!
世の中に流れていた音楽は
「愚か者」近藤真彦、「難破船」中森明菜、「木枯らしに抱かれて」小泉今日子、「サマードリーム」TUBE、「SHOE ME」森川由加里、「リンダリンダ」THE BLUE HEARTS
そんな感じでしょうか。
ドラマは今この他ににも沢山ありましたし、ヒットソングも山ほどありましたが、私の印象に残ったものはこんな感じです。
~つづく~
『パパはニュースキャスター』
プロデューサー:八木康夫
脚本:伴一彦
主演:田村正和、出演:浅野温子、所ジョージ
TBSの金ドラ枠で田村正和のコメディードラマの真骨頂である『パパはニュースキャスター』が始まりました。
『夏に恋する女たち』で新境地を開いた田村正和が、『うちの子に限って』でステップを踏み、この作品で大ジャンプをしたと、当時私は大喜びでした。
『うちの子に限って』は、田村正和の代名詞ともいえるニヒルな超二枚目路線とは程遠い役柄であったことで単純なギャップの面白さを演出したのに対し、『パパはニュースキャスター』では、主人公は鏡竜太郎は有名でスタイリッシュなニュースキャスターという設定で、旧田村的にうってつけの設定をワンステップ踏むことで、『夏に恋する女たち』以降の新田村とのギャップの面白さを同時に味わえるように仕立てたのです。
物語はこんな感じです。
ニュースキャスター鏡竜太郎は独身主義者である。都会の豪華でスタイリッシュなマンションに住み独身貴族を謳歌していました。
恋人は同じニュース番組のアシスタントキャスターである米崎みゆき(浅野温子)。
勿論曲には内緒の付き合いです。
酒癖と女癖が非常に悪いのも彼の特徴で、これが仇となり独身主義者の彼の理想の暮らしは、ある日を境にドンドン崩れて行くことになります。
3人の11才になる少女たちが次々と鏡竜太郎を訪ねて来ます。それも突然3人が3人とも彼を父親だと言って。
聞くと、その3人の名前は何と「愛(めぐみ)」と全く同じ名前なのです。
そしてその3人の少女(西尾、大塚、鈴木)は異口同音に、その名前の由来について彼女たちの母親から聞いているこれまた全く同じ話をし始めます。
(この3人の子役は、この後の芸能活動を個の名字で行っていくこととなるのも面白いです。もしかすると、その3人の役名の名字は本名から撮っていたのかも知れませんが)
そして、この物語の粗筋を芥川隆行のオープニングナレーションが重々し口調で語ってくれるのもかなりコミカルでインパクトがありました。
「鏡竜太郎、40歳、独身。
職業、ニュースキャスター。
ジャーナリストとして正義感に燃える彼にも、欠点がある。
唯一と言っていい彼の欠点は、酒。
飲むと記憶をなくすほど酔っ払い、女を口説くのである。
12年前、彼は三人の女を口説いた。
そのことが、やがて思いがけない悲劇となって、
彼の身に襲いかかろうとは夢にも思わずに........
このドラマは、ある日突然三人の娘の父親になった、
独身主義者の悲劇........ではなく、喜劇である。」
良いです!
彼女たちの母親は12人前のほぼ同時期に鏡に口説かれて鏡と一夜を共にしたらしいのです。
そんな事を言われても、酒癖、女癖の悪い彼はそんなことは全く記憶にありません。3人とも行きずりの恋でしかない筈でありました。
その時の口説き文句は3人とも全く同じでこう!
「俺もね、、、、そろそろ身を固めようと思ってるんだ、、、。娘が出来たらもう名前はもう決めてある、、、、。
愛情の愛と書いてめぐみと読む。愛に恵まれるようにねって。」
バーのカウンターでヘベレケになって、こう言っているシーが必ず入るのですが、これがこのドラマの名シーン名台詞です。
どうぞ、このセリフを田村正和がヘベレケの状態で言っていると思って頭の中に思い浮かべてください。
全く同じ口説き文句に、彼女たちの名前の由来が!しかもそう聞かされるとおぼろげながら思い出したりもしてきました。
そういわれても、あまりのことに半信半疑であるがもうどうすることも出来ません。
スタイリッシュで気儘な独身貴族の暮らしは、見事に崩壊して行くのですが、その一方で鏡の中にも子供たちに対する愛情の様なものが芽生えて行く様を、コミカルに描いていくそんなドラマでありました。
田村正和という役者さん自身の変化というのか結実に向かう進化というのか分かりませんが、兎に角目彼の一挙手一投足から離せませんでした。
外観は旧田村正和を更にデフォルメして、そこにこれでもかと面白おかしい人間味を加えて行く設定を企画した八木康夫というプロデューサー、そしてその意図を見事に物語にした伴一彦という脚本家、そしてその意図をそれらを上回る勢いで見事に演じた田村正和。
『パパはニュースキャスター』は企画、脚本、演者が寸分違わないベクトルを共有し実践した秀作であった思っています。
自らを俯瞰視したような視点で、田村は自身を観ていたのではないかと思います。
それは往年の大投手、稲生が語っていた
「自分の投げる姿が自分で見えていた」
というような、田村正和乗りに乗っていた時期であったと確信しています。
『夏に恋する女たち』で原田芳雄という役者さんに出会った事が、田村正和の役者人生に大きな衝撃を与え、おそらく役者として苦悩の日々は確実にあったと思われます。
しかし彼は、天性の役者です。それを見事に乗り越え吸収し物凄く魅力的なその後に『古畑任三郎』を演じる様な役者さんになったのだと私は考えています。
また、当時乗りに乗っていたトレンディー女優浅野温子もこの物語を盛り上げるのに、少なくはない功績を残していると思います。
跳ね返りだけれども人情派で、手足が細く当時憧れのスタイルを持ち合わせていた女優さんです。
この翌年放映される『抱きしめたい!』でダブル浅野ブームを巻き起こすことになりますが、浅野温子あってのダブル浅野であったことは間違いありません。
書いていて何だか聞いたことのある話を書いている気がしてきました。
設定はだいぶ違いますが、
1972年に大ヒットしたドラマ
『パパと呼ばないで』脚本:向田邦子、松木ひろし
主演:石立鉄男、杉田かおる
このドラマは、モジャモジャ頭のちょっとフラフラしてヘンテコリンな男が内面でカッコイイところを見せてくれるドラマでしたので全く逆なのですが、子供と向かい合うのが苦手な男が四苦八苦するコメディーという意味では
『パパはニュースキャスター』のベースになっていたかも知れませんね。
ここから先、私は田村正和という役者さんの出るドラマは、必ず見てきました。
もう一人の好きな役者さん、中井貴一と同じように。
彼らに共通することは、二人とも二世俳優であることと、とても誠実な目をされていること、そして何よりお二人とも上品です。
育ちが良いから上品で当たり前とよく言われますが、そんなことはありません。
裕福なお家で育った方にも品の悪い方は多くいらっしゃいますし、貧しいご家庭に育った方にもとても上品な方もいらっしゃいます。
生まれ持った品格なのか、この二人の役者さんを見ていると、何故だか心がとても安心するのです。物語の中の話なのですが、その言葉や振る舞いを疑って見なくて良いのです。
その人がそう言えば
「そうなんだろうなー!」
涙を流せば
「分かる分かる!!!」
と泣けてきます。
その感情に全く異物感がなく、私としては本当に信用して楽に観ていられるのです。
上手い役者さん、凄い役者さんは他にも大勢いらっしゃいますが、こういう感覚を持って見られる役者さんはそうはいません。
本当に一方的ですが、私はそう思ってい見せて貰っています。
1987年は、世間を騒がす大きな出来事はなかった様い思います。
日本はバブル期に確実に入ってきており、年末には1ドル/121円という現代と同じくらいにまで円が上昇してきていました。
CMで印象的なものが一つありました。皆さんも絶対覚えている筈です。
山口美江演じるその時のイケイケOLが家に帰ってスーツ姿のまま
「しば漬けたべたい!」
というフジッコのCMです。インパクトありました!
世の中に流れていた音楽は
「愚か者」近藤真彦、「難破船」中森明菜、「木枯らしに抱かれて」小泉今日子、「サマードリーム」TUBE、「SHOE ME」森川由加里、「リンダリンダ」THE BLUE HEARTS
そんな感じでしょうか。
ドラマは今この他ににも沢山ありましたし、ヒットソングも山ほどありましたが、私の印象に残ったものはこんな感じです。
~つづく~
コメント
コメントを投稿