坂井レイラ知美さんとの出会い


坂井さんのライブに初めて伺ったのは、Wonder Wall Yokohamaという東横線の日吉にあるジャズバーでした。

実は、Artistsanで参加して頂いている、書家の高尾綵舟さんのお誘いで行くことになったのです。もともと私が大のジャズ好きという事を知っていた綵舟さんが私に
「私の友達で、ジャズシンガーの人が居るんですけど、河野さん行きませんか?」
そうお誘いを受けて

「是非!」

という事で、この素晴らしいジャズシンガーに出会うことが出来たのです。



当初私は、綵舟さんのお友達ということでかなり気軽な気持ちで日吉まで向かいました。
Wonder Wall Yokohamaは日吉駅から程近くにある素敵なバーでステージの広さも割と広く、客席との位置関係も良くジャズ好きが集まりそうな素敵なバーです。
友人の亜斗夢さんも誘って、3人で鑑賞です。

ステージ前に知美さんを綵舟さんに紹介して頂きました。
知美さんは多分170cm以上ある日本人離れしたお顔とスタイルの方で、(実は綵舟さんももっと背が高いのですが)華のある方でした。

「こちらは河野さん。大のジャズ好きの方です。音楽詳しいよー!」

「えっ、そんなことを言われたら緊張しちゃう!」

そんなやり取りがあり、僕も恐縮しながら第1ステージの始まりを待ちました。
ジャズのライブは大体、2から3ステージ構成が通常です。
来るまでは、失礼ですがそこまで期待はしていなかったのですが、ステージが始まるや、私は久々に鳥肌が立ちました!

「なに、この人!」

私は、本当に音楽や音が好きで「好きこそものの上手なれ」と言いますが、少々のことでは驚きませんし、私なりの音楽の評価はかなり厳しいと思います。
生意気ですが、こと音楽に関してはそう自負しています。
知美さんの歌声は、別格でした。


歌が上手いとか声が良いとか、そのレベルではありません。
歌の上手い人は大概誰でもそうですが、どこか歌の上手さをどこかひけらかすところがありますが、彼女には全くないのです。

彼女の歌声にはその充分な技術的巧みさ、そして声量のポテンシャルもありながら、ジャズのスタンダードをあたかもその曲が作られた時代に寄り添うように、ただただ優しく歌うのです。
主役は自分ではなく、歌そのものが主役の様に聴こえてくるのです。
歌自体そしてその歌が作られたその時代みたいなものが伝わってきて、私の知らない国・時代に誘われるような不思議な感覚です。

これは、私にとって初めての経験であったように思います。

例外もありますが、私は歌の上手な人に、ある共通項を見出していました。
歌声を響かすためには、それを響かせるだけの体というスピーカーでいえばエンクロイジャーが必要だと思うのです。良く言われますが、体は楽器。その通りだと思います。

人の心に届かせるためには、この「響き」というのが最も大切な事の様に思います。
その響きには、魂的な要素、肉体的な要素があるように思いますが今回お話するのは肉体的な要素のお話です。

要素は大きく3つあると思います。

その1つは、頭の鉢の大きさが問題です。(笑)
頭の鉢に声を響かせて歌う歌い方によって、歌声の響きは随分変わって来ると思うのです。
そういう鉢を持っている歌い手は、知らず知らずにそれを使っているのかも知れませんし、その使い方に気付き使い始めたのかも知れません。
実例でいえば、美空ひばり、山下達郎、ノラ・ジョーンズ、古くは三波春夫・村田英雄などがそうだったかもしれません。
美空ひばりや山下達郎などは歌の上手さと魂を具有していますが、それではノラ・ジョーンズはというと、世界的規模でいえば歌がめちゃくちゃ上手い訳ではないと思うのですが、彼女の声はその声の響きも含めて大変魅力的です。響きは声に奥行きや巾を持たせ聴衆の心に深く届き広く行きわたります。


2つ目はスピーカーでいうところのツイーターやコーンにあたる口の開き方もとても重要です。
そして、口というスピーカー機能もとても大きく開き、口内で最終の響きに変えて歌っているのだと思います。
歌声はその人の人格を含めたその人自身が届くものだと思いますが、響きのない歌声だと届き方が浅いと思うのです。


3つ目は、オペラ歌手のように体全体を共振させて歌う歌唱法があると思います。
頭の小さな白人のシンガーでも、鉢はちっとも大きくないのにやはりその響きを持っている方が沢山いらっしゃいます。でも口の問題は同じようにクリアーされています。

魂と体、この二つがとても重要だと思うのですが、知美さんの場合、その長身ということもあり、シンガーにとって非常に重要な要素を持ち合わせているのです。

私は、あっという間に、知美さんの歌の世界に引き込まれ、気付けば第1ステージは終わっていました。
「素晴らしい!!!この人は、今後凄いことになる人だ!Aguちゃん、連れてきてくれてありがとう!」(Aguちゃんとは、綵舟さんのニックネームです)
私は、直感的にそう綵舟さんに伝えていました。

第2ステージも当然の様に素晴らしく、私はその場で彼女のCDを買わせて頂きました。
「河野さんのサイトで、知ちゃんのCDとかを販売したら良いのに!」
と綵舟さんから言われて、
「うん、ものすごく売りたいけど、可能なのかなー?」
なんて話をしつつ、ステージ後に感動を知美さんに伝えて、3人は満足して帰路につきました。
感動の一夜でした!



それから暫くして、綵舟さんから知美さんに連絡を取ってもらい、お会いしてArtistsanCDを扱いたい旨をお伝えしたところ、快くOKを頂き現在に至っております。

実際にお話しすると、本当に気さくな良い方でそういった意味かでも素敵な方です。
これ程心に沁みこんでくる歌を歌える方は、そうはいないと思います。
そして、これも大事なことですがルックスも素晴らしい!天は二物も三物も与えているかもしれません。でも、そういう方がスターになって行くのだと、知美さんを見ていてそう思います。

あれから、何度も彼女のライブに行っていますが、その輝きは増すばかりで、
毎回「来て良かった!」
そう思います。













この夏に2枚目のCDThe Islandが発売されました。
これはボサノヴァをベースにしたアルバムですが、これが何とも良いのです。そして、ずっと一度聞いてみたかった彼女の日本語の歌「寝返り」も収録されています。
またこの歌が何とも素晴らしく、まるで大人のために子守歌の様です。
心にそっと寄り添ってくれるような歌声で、何故だかとても安心した気持ちになります。

最近では銀座山野楽器でのインストアーライブ(あれ?店舗前)をやられたり、各地をライブでまわる忙しい日々を送っておられます。どんどん人気ジャズシンガーの道を歩んでおられます。
CD\1,500(税抜き)、皆様も是非The Islandを聴いてみてください。
何度も何度も聴きたくなる、素敵なアルバムです!

私の保証で何ですが、私が保証いたします!!

坂井レイラ知美さんから、目が離せません!!!

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