ひと休憩 ~少しオーディオの話2~「jazzとの出会い」

不思議なことですが、あれこれCDを買ううちに、いつの間にかジャズのCDを買うようになっていました。ジャズは高校の時分にハービー・ハンコクに興味を持ち会社員になって何枚かCDを買った、そんな程度しか聴いたことはありませんでした。

新しいステレオで、音を聞いているうちに昔購入したハービーのアルバム「The New Standard」を聴いてみようと思ってトレイに載せました。
「オッ!何か凄い!!」
ピアノは勿論なのですが、ベースの音と響きにやられてしまいました。

そんなことがきっかけとなったのだと思いますが、初めはやはり有名どころのピアニスト、ビル・エヴァンスの3枚組のお買い得バージョンを手に入れ、その素晴らしさに度肝を抜かれ、それからというもの週に12枚のペースで、スタンダードの有名ミュージシャンのお買い得シリーズを集め始める様になったのです。




著作権の所在が明確でなくなっているのか、復刻版の様なものが1枚ほぼ¥1,000で売っているのです。


勿論ハービー・ハンコク、そしてオスカー・ピーターソン、ソニー・ロリンズ、アート・ペッパー、マイルス・デイヴィス、ハンク・モブリー、、、、、。兎に角大御所たちの復刻版を買いました。同時進行で、ネットで「音の良いCD」と検索し出てきたCDを少し高いですが、(と言っても通常価格)を少しづつ。そこで出てきたのがソフィー・ミルマンという女性ヴォーカリストのアルバムだったりしまして、これがまた本当に良い音なのです。そこからボチボチ女性ヴォーカルもんを買うようになっていきました。
そんなこんなで、土日は音楽・ジャズ漬けの日々となりました。そんな中、先にも申しました通り、音が耳に刺さるのが気になりそのことに対する不満と、ベースの音の量感不足がドンドン気になって行きました。
 これが、良いものになったらどういう風に聞こえるのだろう?そんな疑問を払拭すべく、新宿や池袋のビックカメラのオーディオコーナーに通う様になりました。また、ここが暗くて定員さんがウロウロしていて実に入り辛いのですが、そこは興味の強さが上回り定員さんを捉まえてはこのスピーカーを聞かせてくれだのあのアンプとこのアンプではどう違うのかなど、根掘り葉掘り聞いていくうちに、初めは全くと言っていいほど分からなかった音の違いが、これが幸か不幸か分かりませんが、分かるようになって来たのです
初めはバスレフが何かも分からず、スピーカーの後ろに穴が開いてるのは何故?そんなところからでしたので、実地検分の威力は凄いものがあります。そして、途中で気付いたのですがどうやら私は、スピーカーの形そのものが好きだったようです。
JBLTANNOYBowers&WilkinsDALIELACHARBETHKEFAUDIO PROTADQUADDENONONKYOFOSTEXMONITOR AUDIOなどなど、いくつかのあまりにも有名なメーカーは知っていましたが、殆ど初めて目にするメーカーばかりでした。超高級のものは憚られたので、実用的と思しき値段のスピーカーの音をそれこそ聴きあさりました。
先にもお話しました通り、ステレオのある生活の素晴らしさを実感した私は、友人にも実感してほしくて、時々オーディオコーナーに誘っては買わせたりしておりました。仲間が欲しかったのですね、きっと(笑)
入門編ですのでそんな高いものは進めても仕方ありません。ある日、友人に勧めるのに新宿西口のビックカメラへ参りました。そこで、10万ちょっとで、ある領域をクリアーした音に出会いました。

それがBowers&WilkonsB&W)というイギリスのスピーカーとmarantzのネットワークCDレシーバーMCR-603との組み合わせでした。
どちらも、メーカー入門機種でしたが、これはやはり10万ちょいで驚くようなレベルの音でありました。その友人はそれを購入することとなり、良いものが見つかったと二人で喜んでおりましたが、そうなると私も欲しくて仕方なくなりました。懸案である、刺さる音と、低音の不足が解消できるのですから穏やかではありません。
「欲しい!!!」
日々想いは募って参りました。頭の中はそのことでいっぱいです。そして、タイヤがステレオに化けて約2年後、遂に私もB&W CM1いうブックシェルサイズのスピーカーとmarantz MCR-603の購入に至りました。初級ピュアオーディオの入門です。
CM1といういうスピーカーは少し前にモニタースピーカーとしてブックシェルスピーカーの代表的な位置を築いたスピーカーでありますが、実に扱い辛いスピーカーでもありました。低音のブーストを抑制させるためにありとあらゆる手段が必要なのです。しかし、ポテンシャルの高さはCDによっては「ウォー!」と声を出してしまいそうな音を出したりする、何とも魅力的なスピーカーでありました。購入後は、このスピーカーのポテンシャルをどう出すかに懸ける日々が続きました。
 そして、MCR-603というネットワークCDレシーバーは、小さなデジタルアンプですが、バイアンプ機能をもつ所謂全部入りCDレシーバーで、ラジオは勿論、インターネットラジオの受信、PCから音楽データを飛ばして再生が出来る優れものでありました。音質も、そのクラスでは抜群の音質を供給してる優れものでありました。

それからというもの、CDの購入は頻度を増し、オーディオを聴く時間も更に長くなっていきました。
その頃を振り返りますと、変な話なのですが、音楽ではなく「音」を聴いていたように思います。どれだけ良いシンバルの音なのか、どれだけ深く切れの良いベースの音なのか、そんな偏った聴き方になっていたのだと思い返されます。
ヴォーカルものでもバックの楽器の音を聴いている、そんな状態でした。そしてシンプルな編成のピアノトリオを聴くことが一番の幸せな時間でもありました。どう説明したらよいか分かりませんが、今までどうにも埋まらなかったパズルのピースがピタリと嵌った、そんな満足感があったのです。

当然のことなのかもしれませんが、この感覚を話して分かる人というのが実際にはそうは居ません。しかし、全くいないかというとそうではありませんでした。
そんな時、ふと一つの事実に気付きました。
自分の属している組織に音楽がない事い。そのことです。
良い悪いではありません。あるかないかです。

その頃から、漠然とですが退職を考え始めたのです。
~つづく~

コメント