革編みバッグ、dragonとの出会い


ベルギー、ブリュッセル発信のバッグブランドdragonとの出会いは、私が前職の時代、もう17.8年前に遡ります。
 もともとはdragonとは全く別のフランスの子供服ブランド、「Monster With Sideburns」というブランドとのお取引がきっかけとなります。
 
17.8年前のとある日、私は西麻布にあるプレスルームにたまたま行っておりました。夕方5時くらいのことだったと記憶しております。
 当時、青山のフロムファーストの1階でhakka kidsのセレクトショップRibbon hakka kidsを立ち上げて間もなくの頃でした。そのRibbonの店長より私宛に電話がかかってきたので出てみると

「河野さん、大変大変!」

「どうしたの?」

会話はいきなりそんな風に始まりました。

「店に外人の女性の人が来て何か言っているのだけど、全然分からないから今プレスにいるなら来てくれませんか?」
「えっ、行くのは構わないけどどんな感じなの?何を言っているのかさっぱりわからないの?」
「なんだか商品を見せたいみたいなんだけど、、、フランスからいらしたみたいで、、、」
「分かりました、その方と代われる?」

代わってもらいお話を覗うと、やはり私も話半分くらいしか分からなかったので、
I’ll just go there! Please wait for about 10 minutes.

そう言って、西麻布から青山まですぐに飛んでいきました。
着いてみると東洋系の方で名前をジュディーさんとおっしゃるパリからいらしたデザイナーの方でした。
ジュディーさんは日本へは観光と自分たちのブランド「Monster With Sideburns」を売り込みに来られたようでした。
 その時の言い方は、観光で来ているのだけど、たまたま自分たちのサンプルを持ってきているので、このお店がとても素敵で気に入ったので是非見てもらえないか?そんなニュアンスでした。
 
 ジュディーさんはアメリカのある大手のファッションブランド会社を辞め独立し、女性二人で子供服ブランドを立ち上げたそうです。
 彼女もデザイナーなのですが、相方の方もデザイナーでお二人はジュディーさんがフランス、もう一人の方はアメリカにいらっしゃり遠距離でお仕事をされているとの事でした。
 とても珍しいお話でしたし、こんなケースも何かの縁と思い、

「勿論、OKです。見させていただきます。」

私をそう申し上げ、翌日西麻布のプレスで日本でのディストリビューターになる方とご一緒にいらしていただく約束をし、別れました。
Monster With Sideburns」モミアゲのある怪獣。面白い名前です。()

 翌日ジュディーさんは、鈴木さんとおっしゃる長身の男性の方と大きなトラベルバッグを引いていらっしゃいました。この時がdragonのエージェントをなさっておられI る鈴木さんとの初めての出会いでした。
商品を見せて頂くと、とてもウィットに富んだプリントの数々で、その時にとても面白かったのが、肩からヘッドフォンが下がっているような、なんちゃってプリントをしてあるTシャツでした。
今ではありふれて感じますが、当時それはとても新鮮で、彼女たちがオリジナルなのではないかと思います。

私は一遍に気に入ってしまい、少しずつお取引が始まりました。
そして鈴木さんはというと、長身で短髪にお洒落なメガネをかけておられ、英語がとても堪能な方で、有限会社シャドウという靴やカバンのインポーターをされているという方でした。とても印象的な方だったので、物忘れの激しい私でも一発でお顔とお名前を覚えました。
 
鈴木さんとはそこからのお付き合いになります。


その後、Monster With Sideburnsはお二人のデザイナーが道を分け、ジュディーさんは「Milk on te Rocks」というブランドを立ち上げ、継続でお取引をさせて頂きました。現在でも継続中の筈です。

 お取引をさせて頂き約10年後くらいに、鈴木さんから革編みのバッグのご提案をいただきました。
私はその当時、アパレル部門の総合MD統括の様な仕事をしておりましたでレディースのブランドでそれを扱えないかとデザイナーに持って行ったところ、是非やってみたいというので、デザイナーが柄・形・大きさ・デザインのすべてオーダーした形で、インドでその商品を生産して頂く運びとなりました。

その際に丁度インドからいらしていた工場の社長さんともお会いして、打ち合わせをさせて頂き、デザインの細部まで社長に聞いて頂き数か月後、商品が上がってまいりました。
 
それはそれは素晴らしい出来で、これがプレミアムブランドであれば2530万はするだろうというものでした。オリジナルで作って頂いたチェックの柄は革で信じられないくらい綺麗に編まれており、あまりの綺麗さにこれが革というのが分からないほどの仕上がりでした。それがこのバッグです。
 
 そしてこのバッグを作って頂いたのがまさしくdragonだったのです。

dragonは、海外の有名ブランドを多く手掛ける、そばらしい工場で、社長が鈴木さんの友人であったので幸運にもそんなバッグを作ることが出来たわけです。そして、そこが私とdragonの出会いでもありました。
そして月日は流れ、dragonブランドは日本でも有名になり、海外の良い商品を見つけ出す様々な有名セレクトショップでの扱いがどんどん増えてきているところです。
 
独立するにあたり、私は鈴木さんにお願いして、dragonを扱わせて頂くことになりました。
初の海外仕入れで、分からないことだらけで様々勉強はございましたが、dragonを目にしたお客様の反応はとても良く、皆さんとても納得し目を輝かせて喜んでいただいております。長年アパレルの仕事をしてまいりましたので、お客様の反応につきましては熟知しているつもりです。
 その中でも、ああいった目をして喜んでいただけることは、そんなに数多くの経験出来る訳ではありません。dragonは経験と確かな技術に支えられた素晴らしい職人技の結晶です。その確かさとセンスが、お客様にああいったお顔をさせる力になっているのだと、とても嬉しく思っております。
 これは先月鈴木さんがインドを訪れた際にお撮りになった写真です。





今後も徐々にバリエーションを増やして行きたいと考えております。今回は初めての仕入れでしたので、思うに任せない部分も多々ありましたが、お客様の意見などを総合するとArtistsanでやるべき形や色も見えてまいりました。是非今後をお楽しみにして頂ければと思います。

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